業種: 製造・製薬
施設種別: イノベーション拠点
羽田空港からほど近い「HANEDA INNOVATION CITY」内に、川崎重工業株式会社が2024年11月に開設したソーシャルイノベーション共創拠点「CO-CREATION PARK - KAWARUBA(カワルバ)」。
※施設情報:https://kawaruba.com/
社外の多様なプレイヤーとともに社会課題の解決に取り組むための場ですが、2階だけで約900坪ある空間の魅力は写真やスライドではなかなか伝わらず、遠方の方にとっては、イメージの湧かない施設に足を運ぶこと自体が高いハードルとなっていました。
そこで導入したのが、バーチャル内覧「ミセルバ」でした。今では会議室の案内やイベントでの施設紹介、公式サイトとの連携にまで活用が広がり、イベントで紹介した日には、アクセス数の伸びを実感するように。「今度遊びに行っていいですか」という声を生む後押しにもなっています。
今回は、経営企画部共創戦略課でKAWARUBAの運営や社外連携を担う武井様に、導入の背景や活用の実態についてお話を伺いました。

KAWARUBAは2024年11月に開設した、社外の方と一緒になって社会課題を解決するためのアクションを起こしていく場所です。テーマは主に二つあって、一つが水素・カーボンニュートラルというエネルギー問題の領域、もう一つが人と同じ空間で動く「ソーシャルロボット」による労働力不足解消の領域です。
主にこの二つのテーマに興味のある社外の方にお集まりいただきながら活動していて、1階には社外の方と一緒にものづくりができる開発スペースもあります。
私は経営企画部共創戦略課に所属していて、この施設全体の運営を担当しています。社外の方をどう呼び込んでいくか、イベントを通じてどうKAWARUBAとの接点を持ってもらうか、といったことに取り組んでいます。
当社には「グループビジョン2030」があって、今後注力していく領域として「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」の三つを掲げています。
ソーシャルロボットはリモート社会や近未来モビリティの足がかりになりますし、水素はCO2を排出しないエネルギーとして地球温暖化に対するソリューションになる。KAWARUBAの二つのテーマは、このビジョンにつながっています。
それに、どちらの領域もさまざまな要素が絡んでバリューチェーンが長いので、川崎重工だけではトータルソリューションを提供しにくい。だからこそ、社外の方と一緒に活動していく必要があるんです。
世の中の変化が激しいので、その流れについていくには自社開発だけでは難しい。社外の方と組んで、お互いの得意を生かしてスピーディーにソリューションを出していきたいんです。
そのための接点づくりの場であると同時に、実際に活動する場所でもあります。ものづくりに限らず「一緒にこういうプロジェクトをやっていきましょう」というものが動き始めて、KAWARUBAがその活動場所になれば良いなと。

こういう施設って、スライドの資料や写真を見るだけでは、あまりイメージが湧かないんじゃないかと思っていたんです。
例えば、この2階のフロアは全部で約900坪あるんですが、「900坪です」と言われてもピンとこないですし、他の場所でも「東京ディズニーランド何個分」という例えが出てくることがありますが、なかなか実際の広さは伝わらないですよね。
バーチャル内覧があれば、KAWARUBAってこんな場所なんだ、と雰囲気を掴んでもらえる。出先で紹介する時に有用なツールになると思って、興味を持ちました。
東京の方なら「来てくださいよ」で簡単に来てもらえると思うんですが、関西などの方だと、そもそもイメージのつかない場所には行きにくいですよね。
それに加えて、川崎重工はBtoBビジネスが中心で工場も多いので、基本的には中を見せるスタンスの会社ではないんです。そういう意味でもバーチャル内覧は、川崎重工がオープンにいろいろな方とやっていこうとしている、というメッセージになると思いました。KAWARUBA自体、新しいことを試していく場所でもあるので、ちょうど良いなと。
川崎重工が実はロボットや水素・カーボンニュートラルに取り組んでいて、それを一緒にやろうとしている場所があるんだ、と知ってもらう。その上で、興味を持ってここに来てもらうことが一つの目的です。
以前は、遠方の方にふわっと知ってもらった後の次のステップが、いきなり「現地に来る」だったんですよね。そこのハードルが高かった。間にバーチャル内覧を挟んで解像度を上げてもらえれば、来るハードルを下げられますし、実際に来ていただいた時にも、これを見てみたい、こういうことを聞いてみよう、という着想の足がかりになります。
こういう場所は、そもそも興味を持ってもらえないと話が始まらないんですよ。だから、いろいろな形で解像度高く興味を持ってもらうことが大事だと思っています。
実際に物を見てもらう、触れてもらうことが理解につながるというのは、KAWARUBAという場所のコンセプトそのものなんです。だから施設の見せ方も、ありのままの空間を体験してもらえる形が一番合っているだろうと。
メタバースやCGは、現実にはできないことをやる分には良いと思うんです。ただ、施設をちゃんと知ってもらうという目的なら、実際の空間を自分で見て回れるミセルバのようなバーチャル内覧が一番かなと思いました。
寸法を測れる機能ですね。KAWARUBAは機材や展示物を持ち込むイベントが多くて、こういうものを入れられますか、広さはどのくらいですか、と聞かれることが結構あるんです。
口頭や写真だけでは答えにくい質問ですが、バーチャル内覧なら実際の場所のイメージがつきますし、長さも測れる。外部の方の安心感を作れると思いました。
実際、いろいろな方が研究中のロボットを10体ほど持ち込んで学会発表をするイベントがあった時には、搬入口の間口が何センチあるかが気になっていたので、バーチャル内覧上で測ってみました。事前に間口を確認できたことで、当日は安心して搬入に臨めました。
まず、会議室を予約したいという問い合わせへの対応です。社内からの問い合わせでも、KAWARUBAに来たことがない人にはイメージが湧かないので、ただ「12人部屋です」と伝えるのではなく、部屋の雰囲気もあわせて伝えるようにしています。部屋の数も多いので、コの字型なのか長机なのか、というところまでわかってもらえるんですよね。
ワークショップの案内でも同じで、部屋の寸法が見られますし、このくらいの大きさで左側に窓が開いていて、というイメージをつけてもらいながら話を進められます。
それから、イベントでKAWARUBAの取り組みを説明する機会も結構あって。今まではフロアマップと写真を見せて終わっていたところを、QRコードを発行して、その場でスマートフォンから見てもらうようにしています。そういう時はアクセス数がぐっと上がる感覚がありますね。
そうですね。ここでカンファレンスをやりたい、打ち合わせをしたい、という問い合わせが社内外からあった時に、「あの会議室はこんな感じですよ」と、その場所から見た角度のURLを発行して送っています。社内の見学希望者にも、よかったらイメージをつけてください、と送ったりしていますね。
ステージでイベントをやりたい方には、ステージ側から見た角度と客席側から見た角度、両方のリンクをお送りすることもあります。二つ開けば違いがすぐにわかるので、自分で操作して見てくださいと言うより、わかりやすいかなと。
やはり、わかりやすいと言ってもらえますね。写真はどうしても切り取りで、ある部屋をここから見たこの角度、という情報しかない。
ミセルバは3Dで体験できるので、登壇者の目線ではどう見えるのか、後ろから入った時はどうか、入り口からどう進むのかまで、気になったところを自分で確認できます。どういう場所に行くんだろうという時に、イメージがつきやすいみたいです。
イベントでQRコードを読み取ってもらった後の交流の時間に、「結構きれいに見えますね」と声をかけていただくこともありますし「今度遊びに行っていいですか」と言ってもらえることも結構あります。ミセルバだけの効果とまでは言えないですけど、イメージがつくことが後押しにはなっているのかなと。
動画はあらかじめ決められた流れでしか見られませんし、基本的には流れているものを見る受け身の体験だと思うんです。バーチャル内覧は、自分で動かして、自分の知りたいところを見に行く。そこが違うかなと。展示物に情報やリンクを付加できるのも、動画にはない点ですね。
Googleストリートビューがまさにそうで、道のりを調べていて細かいところを知りたくなった時に、写真に載っていない情報へ自分でアクセスできる、ほとんど唯一の手段ですよね。そういう解像度の違いがあるのかなと思います。
導入して一番最初の頃に、活用方法を何種類か手順としてまとめた資料をいただけたのが良かったですね。こんな使い方ができます、というのを自分でまとめなくて済んだので、社内にまず展開しやすかったんです。
ただ「中が見られます」ではなく、この地点からの見え方でURLを発行できます、といった機能とセットで案内できたので、実際に社内で使ってくれている人もいます。毎月メールで届くアクセスレポートも、結構良かったなと思いますね。
KAWARUBAのサイトには、各エリアの説明に合わせて、バーチャル内覧のそのエリアへ直接飛べるリンクを置いています。ただ入り口にひとつ置くだけより、エリアごとの説明に合わせたリンクがあった方がわかりやすい、というノウハウを教えてもらって、参考にして作りました。
例えば「THEATRE」という大きな部屋を使いたい方は、玄関口のリンクしかないと、そこからどう動けば良いのかがわからないと思うんですよ。特にイベント会場は部屋ごとに広さも仕立ても違うので、興味のあるところから直接入れるのは、実は結構良いなと感じています。
今のところ、サポートで困っていることはないですね。コンテンツの説明の入れ替えや、サイトへのはめ込みなども、できますよと最初に言ってもらえているので「ニーズが出てきたらお願いすればやってもらえる。」という安心感があります。
一つは、生産現場の雰囲気を掴んでもらう使い方です。工場見学って、見せてはいけないものにすごく気を使うんですね。バーチャル内覧なら見せる範囲をコントロールしたコンテンツが作れるので、活用方法として大いにあり得ると思っています。
あとは、実際に連れて行くにはハードルが高い設備の撮影ですね。例えば液化水素の基地の中がどうなっているのかをリアルな形で見ながら、ここのこの部分がこうなっていて、とじっくり話す。細かく見たいところを自分の角度で見られるので、社内での共有にも、お客様と話す時にも向いていそうだなと。
そうですね。展示物が増えたら更新していきたいですし、イベントのアーカイブとして、グラフィックレコーディングをバーチャル内覧の中で展示するのも面白いかもしれません。実際にイベントで使われている様子の写真を空間内に載せて、利用イメージをより伝えやすくする、というのも検討してみようと思っています。

バーチャル内覧は、現地にいない方に対してリアリティを持って伝えられるツールだと思います。私自身、打ち合わせでバーチャル内覧を映し出して、ここでこういうものを展示していて、と話すこともありますし、KAWARUBAにお越しいただいた時にする説明を、画面の中で簡略的に再現するような使い方もしています。
写真やスライドだけでは伝わりきらないところを伝えられて、見る方が自分で動かして、知りたいところを見に行ける。この360度の感覚は、他の手段にはない価値です。施設に興味を持ってもらう入り口として、きっとうまく活用できると思います。
川崎重工は、国内外の100に及ぶ関連企業とともに"技術の企業集団"川崎重工グループを形成しています。
技術の歴史は100年を越え、磨きあげてきた先端技術をもって新たな価値を創造し、社会の発展に貢献するという理念のもと、陸・海・空はもとより、遥かな宇宙から深海にまで、多彩な製品を送り出しています。
業種: 製造・製薬
施設種別: イノベーション拠点