業種: 製薬
施設種別: 工場
ロート製薬は「人と社会、明日の世界を元気にする」というパーパスのもと、最先端技術でスマート工場の実現に挑戦しています。その中で、工場見学の負担軽減や採用活動での現場の魅力伝達を目的に、3D技術を用いた「バーチャル内覧」を導入。
現状では、主に工場見学や採用活動で活用されていますが、今後は「防災訓練」や「設備レイアウトシミュレーション」「行政査察対応」「営業活動」など、工場内に留まらない多様な業務への活用を目指しています。
今回は、上野工場のスキンケア製品グループマネージャーを務める増田様に、現場の率直な声と今後の展望についてお話を伺いました。
私はロート製薬の上野工場で、スキンケア製品グループのマネージャーを務めています。当工場は、アイケア製品を担当する棟と、スキンケア製品の製造を行う棟の拠点で分かれているのですが、私はスキンケア製品の棟を担当しております。普段は、直属の70名を含む約160名のメンバーと共に、生産管理や製造プロセスの改善に取り組んでいます。
主に、工場見学の場面で活用しています。特に、2022年に稼働を開始した新棟は見学希望者が非常に多いのですが、見学通路だけでは確認しにくい部分があるんです。また、工場全体の規模が大きいため、時間の制約上、すべてを物理的に見学するのは難しいケースもあります。
そのため、これまでは一部の見学を諦めざるを得ないこともありましたが、バーチャル見学を導入したことで、物理的な移動なしに詳細を確認できるようになり、限られた時間内でより多くのエリアを案内できるようになりました。
工場見学は週に1〜2回は必ず実施する機会があり、DXやIT活用を共に進めている企業の方々、さらには社内関係者など幅広いステークホルダーの皆様に来ていただいています。特に、社内関係者だと研究開発などに携わっている上流工程の担当者が、普段見ることのない製造現場をより深く理解するためにバーチャル内覧を活用して手軽に見学するケースが増えているのが特徴です。
また、業界的には珍しいかもしれませんが、同業他社の工場見学を受け入れることもあるので、そうした場面でもバーチャル内覧は有効活用させていただいています。
バーチャル内覧のおかげで、工場見学時の説明内容を標準化できたことは大きなメリットです。以前は担当者によって説明にバラつきがあったのですが、今はバーチャル内覧の中に配置している動画コンテンツを再生しながら案内する形になったため、誰が案内しても一定の品質を保てるようになりました。バーチャル内覧は実際に見ているのと変わらないくらいリアルなので、説明精度が上がりましたし、結果的に説明時間の短縮にも繋がっています。
また、以前は管理職やマネージャーが中心に案内していましたが、説明の標準化が進んだことで、今では現場で実際に作業しているスタッフも自分の仕事について説明する機会が増えました。自分たちが日々取り組んでいる工程を直接伝えることで、見学者にもリアルな現場の声が届き、理解が深まると感じています。
もちろん、工場見学自体は一定の負荷がかかる業務ですが、私たちの取り組みを詳しく知っていただくことで、お客様に安心して製品をご利用いただけるという信頼にもつながっています。実際、見学後に直接嬉しいお言葉をいただくことも多く、ポジティブな反応を直接目の当たりにすることで、現場スタッフが自分たちの仕事に誇りを感じられるようになるなど、多方面で効果を実感しています。
工場見学以外の活用として、採用活動にもバーチャル内覧を取り入れています。応募者には事前に工場の環境をバーチャルで見ていただくことで、実際に働くイメージをより具体的に持ってもらえるようになりました。そのおかげで、『いざ入社してみたら想像と違っていた』というミスマッチが減少しました。面接に進む段階では、すでに工場の雰囲気を理解しているため、具体的で深い話ができ、候補者とのコミュニケーションもより充実しています。
いくつか活用アイデアがあります。まず、『防災訓練』での利用です。たとえば、工場内の特定の場所で出火した場合を想定し、どの避難経路で対応するかをバーチャル内覧を活用してシミュレーションできれば、実際に防災訓練を行うよりも、効率的に訓練を実施できると考えています。
現在は、入社時などに在籍する社員が現場案内を行っており、非常に時間がかかってしまっていますが、バーチャルなら何パターンものシナリオを試せるし、より深い教育効果が期待できますね。
はい。また、『設備レイアウトシミュレーション』のような使い方も、実現ができれば面白い活用法になるのではないかと思っています。実際に撮影した点群データを活用して、リアルな設備画像を動かしながらレイアウトを変更できれば、従来のCADで作業するよりも、具体的なイメージが湧きやすくなるはずです。
工場自体もどんどんアップデートされるので、過去のレイアウトを記録として残しておけば、工場の歴史を振り返る資料としても活用できるでしょう。まだ現状の機能ではここまで実現できませんが、これからそういったことができるようになれば、かなり活用の幅が広がるイメージがあります。
さらに、定期的に行っている『行政の査察対応』にもバーチャル内覧を取り入れたいと考えています。無菌工程など、立ち入りが制限されるエリアの場合、バーチャル内覧でよりリアルに工場設備の状態を伝えることで、査察官の方々にも一定の信頼感を持っていただけるのではないかと思います。もちろん、完全にバーチャルだけで対応するのは難しいかもしれませんが、実際の現地視察とハイブリッドで行えば、効率的な査察が実現できると期待しています。
正直なところ、初めはバーチャル内覧の操作に慣れるのに戸惑う場面がありました。クリック操作だけでなく、キーボードでの操作も可能なことなど、わからない部分が多くありましたが、運用していく中でそういった部分もArchiTechさんに相談し、都度適切なレクチャーを受けることで解消しています。
また運用開始してしばらくの間は、読み込み速度が遅かったり、画像や動画の表示画質が低下してしまう場面などもあり、多少気になる部分がありました。しかし、定期的なアップデートのおかげでこれらの問題も解消され、今では非常にスムーズに運用できるようになっています。
先ほどお伝えした今後のバーチャル内覧の活用方針に沿って、ぜひどんどん新しい試みにトライしていきたいですね。実際、社内でもバーチャル内覧を利用した工場見学の体験を通じて、より積極的に活用したいという声がたくさん上がっています。
最近では、地域営業を担当しているメンバーから『ロートの製造現場を実際に知ってもらいたい』という声をいただくこともありました。そういった場面でもバーチャル内覧の活用の幅が広がるのではないかと思っています。
今後も会社全体でバーチャル内覧を最大限に活用していけるよう、是非ArchiTechさんにもご協力いただけたら嬉しいです!
ロート製薬は、一般用医薬品やスキンケア商品、サービスを通じて世界の人々に「健康」をお届けすることによって、多くの人々、社会を「Well-being」へと導き、 明日の世界を元気にすることをパーパスに掲げています。これからも、事業活動を通じて世界の人々のWell-beingに貢献するとともに、 健康で幸せに過ごすことができる持続可能な社会の実現を目指してまいります。
業種: 製薬
施設種別: 工場
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